「つかうこと」って書いてあるのに、使用対象を酷評している書籍を読みました(;・∀・) ~精神疾患の診断を巡る難しさ~

心理学・精神医学

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こんにちは、隅っこです。
今回は、久々にカウンセリング講座の感想以外の記事を書いていこうと思います。
でも、結局心理系のお話です(笑)
・・このブログ、最近心理系のブログみたいになってるなぁ(;・∀・)

今回の記事はざっくり言うなら、「読書感想文」です。
・・こう書くと、一気につまらない感じになるのはなぜだろう。。
しかもですね、どんな書籍を読んだかというと・・
「精神疾患の診断基準に関する書籍」
・・・うん、正直面白くなさそう。というか、なんかもはや硬くて怖そう。

でね。もったいぶらずに読んでみての感想を一言で言っちゃうなら
「小難しくて、書いてあることの半分くらいしか理解できませんっっ!!( ;∀;)」

「難しいかと思って身構えたけど、全然そんなことありませんでしたよ~」っていう、書評系でよくみるパターンではなく、予想通りしっかり難解でした😇
ある意味、期待を裏切ってきた・・(笑)

あ、ちなみに今回読んだ書籍はこちらです。

(ちなみに、監訳された松崎先生のYoutubeを私はよく見てます(`・ω・´))

精神医学って・・?

隅っこが思う、「(臨床)心理学」と「精神医学」の違い

突然ですが、皆さん。心理学と精神医学の違いって、考えたことあるでしょうか?
どっちも似たような印象ありませんか・・?
どっちも「人の心」を扱う学問だし・・。どっちも「うつ病」とかの心の病を熱かったりするし・・。

でも、両者には明らかな”違い”があると隅っこは思っています。

その違いは「病気という診断を下すか否か」ということ。

確かに、心理師さんとかカウンセラーさんのような、「心理学」をベースとする人たちも、精神科医さんのような「精神医学」をベースとする人たちも、どちらも人の心を扱います。

でも、精神科医さんたちにはできて、心理師さんたちにはできないことがある。
それは「この人は、病気ですよ」という診断を下すこと。

診断って、ある意味「この人の心は不健康だ」という”ジャッジ”をするわけで、一歩間違えれば「レッテル」やら「スティグマ」と言われるようなものにも繋がる、結構危うい行為だと思います。

だからこそ、「どこからが”正常”で、どこからは”異常”なのか」という線引きが非常に重要になる。
人の一生にも関わるような判断、精神科医それぞれが好き勝手診断していいわけがないですよね?
「病気の診断」なんだから、どんな人が診断しても、同じような診断になるのが妥当なはず・・。

そのためには「こういう状態なら病気だよ」ってはっきりした”基準”が必要になります。
その基準こそが「診断基準」になるのだと、隅っこは考えています。

「診断基準」は2つある

(少なくとも私が知っている範囲で)現在の精神疾患に関する診断基準は2つあります。

一つは「ICD(International Statistical Classification of Diseases and Related Health Problems)」と呼ばれる世界保健機関(WHO)が発行している、診断基準です。
こちらは”精神疾患の”診断基準というわけではなく、色んな病気についての”分類”が書かれている文章みたいですね・・。
その沢山ある病気の中の一つに、精神疾患も入っている・・みたいな感じ?

もう一つは「DSM(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders)」と呼ばれる、アメリカの精神医学会が発表している診断基準。
こちらは精神医学会が出しているだけあって、精神疾患を診断するための”基準”が書かれています。

タイトルからも分かるように、今回の書籍が扱っているのは「DSMシステム」の方です。

書籍を読んで初めて知ったけど、ICDには「この病気の典型例はこんな感じですよ~(たぶん、もっとちゃんと書いてあると思うけど(;・∀・))」って言うことが書いてあるのに対して、(特に近年の)DSMでは「いかに上げる症状が〇個以上当てはまったら、××という病気である」ということが書いてあるようです。

だから、ICDを使う場合は「目の前の人の症状は、どの病気のパターンと近いかな?」っていう感じで判断する。

DSMを使うなら「この病気に関連する条件に〇個以上当てはまるから、××という病気だ」って判断する・・ってことだと思います。

・・あくまで、医学部卒でもなんでもない、一個人の解釈なので、間違っていたらごめんなさい💦

確かに「基準」は大事だけど、その「基準」を決めるのむずくない?

とまあ・・小難しくてちょっと堅い、「それっぽいこと」を偉そうに書いてはみましたが・・・この「ここからは病気ですよ」っていう基準、決めるのめちゃくちゃ難しいですよね。

だって対象が「人の心」なんだもん。
心臓とか、胃とか、そういう「明確に実在するもの」じゃないんだもん・・。
血圧とか血中濃度みたいな、そういう「状態の参考になるもの(マーカ)」があるものじゃないんだもん・・。

ということでこの診断基準、定期的に「見直し」がなされています。
現に、この書籍は「DSM5」という診断基準をメインに扱っているけど、現在はさらにアップデートされて「DSM5-TR」になっています。

それに、書籍にも(割と生々しく)書いてあったけど、診断基準を巡っては常に「あらゆる論争」がなされているようです・・(;^ω^)

書籍の感想

前置きがかなり長くなってしまった・・。。
ここからは、書籍を読んでみて私が感じたことを書いていきますが・・・著者さんはDSMシステムに「モノ申したい」ことがあるみたいです。

めっちゃ苦言呈すやん(;^ω^)

書籍を全体を通して感じた著者の主張は

「何でもかんでも、精神疾患に認定すんじゃねぇ!!(# ゚Д゚)」

です。

いやこれ、私が誇張して書いてるとかじゃなく、本当に冒頭から、なかなか際どいこと書いてあるんですよ(苦笑)
だって「はじめに」の部分からすでに・・

正常範囲の感情や行動や思考にまで精神医学的診断がくだされ、その人にスティグマと不適切な治療がもたらされている。

DSM-5®をつかうということ その可能性と限界

DSM-5の過度な包括性は製薬業界を喜ばせることだろう。

DSM-5®をつかうということ その可能性と限界

って思いっきり書いてあるんだもん(;^ω^)

最初この文章を読んだとき
「あれ?!タイトル、DSM-5を”つかう”ということ、だよね!?使う気ある?!?!(゚Д゚;)」
って、思わずタイトル見直しましたよ・・。

それでも、たぶん・・ただ”ダメ出し”がしたいわけじゃない

書籍の中では、DSMシステムの歴史とか、基準を巡るこれまでの論争とか、DSM-5が前の診断基準とどう変わったのかとか、著者さんが感じている問題点とか、問題点とか、問題点とか・・、まあとにかく問題点がたくさん書いてありました(笑)

もともと洋書なのもあって言い回しが独特だったり、そもそも内容難しかったりで、冒頭に書いたように多分内容を半分くらい(もしくはそれ以下)しか理解できてないけど、とりあえずめっちゃ苦言を呈していることだけはわかりました(;^ω^)

ちょっと読んでて「この著者さん・・業界的に干されないか??」と心配になるレベル。。

でも、読み進めるうちに
「あ・・この人、単に今の診断基準に”ダメ出し”したいわけじゃないんだ」
と感じました。

たぶん、著者さんが言いたいのは
「診断基準はこんだけ問題がてんこ盛りなんだから、それを”バイブル”のように妄信していいわけないでしょ!!」
「こんだけ難しい問題だらけの、進歩の余地だらけなんだからね!!現状で良しとするんじゃないよ!!」
みたいなことを言いたいのかなぁ‥と。

だってね、散々問題点を書き連ねてあるにも関わらず、書籍の最後はこう締めくくられているんです。

DSM-5は最悪の診断形態かもしれない。それまでなされてきたすべての形態を除いては。

DSM-5®をつかうということ その可能性と限界

「それまでなされてきたすべての形態を除いては。」
つまり、「問題だらけでも、前よりはちょっとずつ前に進んでるよね」ってこと。

単に”ダメ出し”をするだけなら、こんなセリフ・・出ませんよね。
だから、著者さんが言いたいのは「その歩みを止めんなよ!!」ってことなんじゃないかな、と解釈しました。

正直、書籍中に書かれていて著者さんの色んな主張や批判がどのくらい妥当なのか、知識や(当たり前だけど)診断の経験のない私にはわかりません。

でも、確かに「どこからを正常として、どこからを病気とみなすのか」という判断はとても難しいし、現状の技術ですっきりと答えが出る問題だとは思えません。
議論が付いて回って当然だと思う。

だから、そういう「難しい領域」で日々悩みながら診断を下しているのが、精神科医さんたちなんだろうな・・と思って、これまでと違う意味で尊敬の念を感じました。

小難しくて、何度か寝落ちしたけど、それでも読んでみてよかったなぁ・・と思える書籍でした。

(ストレングスファインダーわかる人にしか通じない)おまけ

それにしても・・・この著者さん、回復志向高そうだなぁ・・・(;・∀・)

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